朝の心
私たちはみんな兄弟姉妹
- 2020.07.08
- 朝の心
世界では今、新型コロナと同じくらい大きな問題となっていることがあります。アメリカのミネソタ州で5月25日、黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官から約8分にわたって首を押さえつけられ、命を失う事件が起きたのです。これをきっかけに、世界規模で差別撤廃運動が展開されるようになりました。この事件を通して、私たちも自分自身を振り返ってみる必要があるのではないでしょうか。
振り返りの一つのヒントとして、昨年、長崎で司教になられた中村倫明司教様の記事を紹介したいと思います。
「病弱な両親にはなかなか子どもが産まれず、やっと誕生したのが、この私。その後、兄弟姉妹は産まれることはありませんでした。なにも私が一人であることを選んだわけではありません。
一人っ子が不祥事を起こすと、『一人っ子はわがままだ』だとか『一人っ子は共同生活ができない』などとテレビの解説者は語り、多くの教育心理学者たちが書籍で論述します。それを見聞きする度に『お前は欠陥人間だ』と言われている思いになりました。同じような番組や本を多くの人たちも目にしていると思うと、"周りの人も同じようにこの私を眺めているんだろうなぁ"なんて勝手に小さな被差別感を味わってもいました。
確かに、兄弟姉妹の中で競い揉まれて育ったことない私は、人間的にもいろいろな点が磨かれていない事も多いでしょう。私の両親は、甘やかさないように意識的に厳しく育てようとしたようです。『でもやっぱり甘かったところもあるかなぁ。だってやっぱり我が子は可愛いかもん』年老いた両親に、そう言われたことがあります。
この私には、たくさんの欠点があります。一人っ子でなかったらそうでなかったかは分かりません。でも、はっきり言えることがあります。
『私は両親から目一杯愛された』
イエス様は神の独り子でした。御父から目一杯愛されました。いや、この私たちだって御父からしたらまるで独り子のように目一杯愛されています。
私は一人っ子。でも、決して一人ではありません。
天の父がおられ、そしてその父の前では私たちはみんな兄弟姉妹。そこから差別や排除のない世界が始まるのではないでしょうか」(『カトリック部落差別人権委員会ニュース』 No.186より)。