朝の心
キリンの首
- 2020.11.10
- 朝の心
今年の8月1日、フェニックス自然動物園でマサイキリンの赤ちゃんが誕生しました。赤ちゃんの名前は公募され、約2千票のなかから選ばれた「コナツ」に決まったというニュースを覚えている人も多いことでしょう。真夏に生まれ、母親の名前である「コユメ」の子に相応しいということで「コナツ」が選ばれたそうです。
キリンは首が長いのが特徴ですが、あれだけ特別な見た目をしていても、体内の構造は他の動物とあまり変わりません。たとえば食事の消化では、鹿や牛と同じく四つに分かれた胃袋で、食べたものを吐き戻して再度咀嚼する「反芻」を行います。首の構造も、頚椎という骨の数はヒトなどの哺乳類と同じ7個ながら、骨の一つひとつが長くなったことによって、あのような長い首が出来上がったのだそうです。つまりキリンは、基本的にほかの動物と同じ体の構造で唯一無二の奇抜さはなく、すでに備わっている骨の様子がほんの少し変わったことによって個性的な体になった動物なのです(『郡司芽久のキリン解体新書』参照)。
私たちは時折、誰かの容姿や能力、境遇と、自分とを比べて、何とは無しに羨ましがることがあります。また、自分には何も良いところがないとか、特徴的なところがない、と自信を持てなくなることもあります。しかし、人それぞれの能力や個性というのは、その人だけ特別だったり奇抜だったり限られているのではなく、誰もが持っていて、努力したり、創造的な工夫をしたりすることで、少しずつ開花していくのではないでしょうか。そのためには、どんな人間もかけがえのない存在であることを認め、どんな相手にも可能性を信じ、そしてすべての人が社会にとって必要とされていると自覚することが大切ではないかと思います。
最後に、元京セラの社長・稲盛和夫さんの言葉を紹介します。
「現在の能力でできる、できないを判断してしまっては、新しいことや困難なことはいつまでたってもやりとげられません。今日の成果は過去の努力の結果であり、未来はこれからの努力で決まるのです。」