朝の心
悪魔の誘惑
- 2021.02.20
- 朝の心
ある時、悪魔の世界で全悪魔を集めた総会が開かれました。悪魔の大統領は最近平和な人間界が気に入らないらしいご様子。ある悪魔たちは地震や洪水を起こしたり、疫病をはやらせたりしましたが、人間たちは団結して災害や疫病を乗り越えていきました。別の悪魔は地球を何度も壊せるほどの兵器を人間に与えましたが、一向に使う気配がありません。大統領は困り果て、「人間たちを破滅させる名案を持っているものはいないのか?」と周りを見渡しましたが、悪魔たちは下を向いたまま黙っています。
しばらくの沈黙を破って、小さい悪魔がそっと手を挙げて言いました。「いい考えがあるのですが、私に任せてくれませんか?」皆は疑いの目を向けましたが、他に手を上げる者がいなかったので、大統領はそのチビ悪魔に任務を任せてみることにしました。
結果はどうなったでしょうか。なんとその小さい悪魔は人間界に大打撃を与えたのです。他の悪魔たちはどうやったのかチビ悪魔に聞きました。「簡単ですよ。どんな小さなことでもいいので悪いことを考えている人の耳元で『それはたいしたことではない』と片っ端からささやき続けるんです」。
ドン・ボスコは「悪霊が悪にそそのかそうとするとき、いつも使う言葉は『それはたいしたことではない』という言葉であることをよく覚えておくように」※ と子どもたちに注意をしていました。私たちは目の前に大きな壁があったり、大きな危険が予測できるときには、容易に立ち止まることができます。しかし、ハードルが低いと「これぐらいはいいか」と思いがちです。そうして小さな過ちを繰り返すうちに慣れてしまい、大きな過ちを犯しやすくなってしまうのでしょう。そうならないよう、ドン・ボスコは日々の小さな勤めを一つ一つ、誠実に果たしていくようすすめています。勉強や人間関係において、また健康面においても、「それは、たいしたことではない」という悪魔の誘惑には気を付けましょう。
※『聖ヨハネ・ボスコのすすめ365日』ドン・ボスコ社、67頁