朝の心
母の足を洗う
- 2021.05.26
- 朝の心
ある会社の入社試験では、最終試験に社長自らが登場し、こう言うそうです。「今日から3日差し上げますので、その間に、お母さんの足を洗って報告に来てください。それで入社試験は終了です。」と。最初は、そんなことで入社できるならと学生たちは喜びますが、いざ家に帰ると、なかなか母親に言い出すことができません。母子家庭で育った一人の青年は、2日間躊躇しますが、ついに「足くらい自分で洗うよ」という母親を説得し、縁側へ連れていき、たらいに水をくみました。そして、母親の足を洗おうと足を持ち上げた瞬間、母親の足の裏があまりにも固く、荒れ果て、ひび割れているのを感じ絶句してしまいます。学生の自分は母親が送ってくれる学費や生活費を当たり前のように使ってきましたが、それは母親がこんなにも必死になって働いて、送ってくれたものだったのだと悟ったのです。彼は胸がいっぱいになって「お母さん、ありがとう。長生きしてくれよな」というのが精一杯でした。
翌日、この体験を報告し、お礼を言う彼に、社長は最後にこう言ってくれました。「君は一人で大人になったんじゃない。お父さんやお母さんや、色々な人に支えられて大人になったんだ。そしてこれからも、自分一人の力で一人前になるのではないんだ。今回君が体験した感動を忘れず、謙虚な人、感謝のできる人でありなさい。」と。
さて、ドン・ボスコは、母マルゲリータや天の母であるマリア様を大切にした人でした。ドン・ボスコは、難しい課題に直面した時には、マリア様が必ずそばにいて助けてくださると信頼し、いつも「マリア様、さあ、始めましょう」と言って物事に取り組み、一日の終わりには、マリア様に感謝の祈りを捧げました。今週金曜日に行う聖母祭は、普段のあたりまえの日常が、母親や聖母マリア様など多くの人から支えられていることを改めて思い出し、感謝をささげる行事です。(高校2年生、3年生は残念ながら直接参加することはできませんが)この機会に、自分のことを支えてくれている周りの人に感謝し、何か一つでも感謝を表す行動ができればすばらしいと思います。