朝の心
未知との遭遇
- 2021.10.25
- 朝の心
皆さんはUFOの存在を信じますか。
むかし、UFOに乗った宇宙人と遭遇して、大変な冒険をすることになった家族を描いた映画がありました。その名も「未知との遭遇」。実は私はその映画を見たことはないのですが、主題曲があまりにも有名で、タイトルだけは覚えています。
この映画は、何も素性が分からない相手と出会ったときに感じる「恐怖」と「好奇心」の入り混じった人間の感覚を上手く演出した娯楽作品とされています。誰しも、何者か分からない相手に警戒心を抱くのは普通です。でも、そんな相手とコンタクトを取り、だんだんとお互いのことが分かってきて交わりをさらに深めると、自分自身が変わっていくことにも気づきます。「未知との遭遇」は、実は私たちを大きく変える成長の糧となるのです。
先日、中学生の遠足に同行させてもらいました。私は中学3年生と一緒に石山観音池公園に行きました。公園にはもう一団体、地元の小学1年生の子どもたちが遠足に来ていました。遊び場所が重なっていたため、小学生たちが帰るまで遊具を譲ってあげようということになりました。私たちがお弁当を広げていると、次々と小学1年生の子どもたちがジャンボ遊具のところに歓声を上げて集まってきます。私は、学院の生徒たちはどうするかなと観察していました。もちろん、遊具で遊ぶ小学生たちを邪魔する生徒はいませんでした。しかし、そのうちに小学生たちに声を掛けて、一緒に遊び始める学院生が出始めました。わたしは「しめた!」と思いました。好奇心の旺盛な小学生たちも、いつもの先生たちではなく、お姉ちゃんやお兄ちゃんに遊んでもらえるととても嬉しいようです。30分くらいでしたが、一緒にドッジボールをしたり、滑り台に登ったりして遊んでいました。私はその学院生の姿を見るのが嬉しくてたまりませんでした。いつもの友達と一緒にいるだけではなく、初めて出会う未知な人にも配慮の目を向けられるということは、人としてとても大切なことだと私は思います。今回は、偶然とはいえとても興味深い「未知との遭遇」となりました。
ティヤール・ド・シャルダンという神学者が次のような言葉を残しています。
「人生にはただ一つの義務しかない。それは、愛することを学ぶことだ。
人生にはただ一つの幸せしかない。それは、愛することを知ることだ。」
自分を愛してくれる人だけでなく、未知な人、初めて出会う人にも関心を向けて大切にできる「幸せ」を感じられる人であってほしいと思います。