朝の心
弱さを強さに
- 2021.10.26
- 朝の心
皆さんは自分の弱いところ、コンプレックスに感じているところはありますか。私は沢山ありますが、一つ挙げるとしたら忘れっぽいところです。大学で教員免許を取る際に、単位が足りなくてもう1年余分に勉強しなくてはならなくなったりして、大変苦い経験をしました。何とかこの弱点を克服しようと努力したことで、幾分マシになったように思います。自分の忘れっぽいところを克服していく中で変化があることに気づきました。自分が忘れてしまいそうなことが前もってわかったり、他人が忘れ物をしてもイライラしなくなったりしました。
心理学で自分の弱点や劣等感を何とかしようする心の働きを劣等感の「補償」と言うそうです。これは心理学者アルフレッド・アドラーの研究によるものです。
彼は眼科医時代に、美術学生の7割以上に視力の欠陥があることに気が付きました。なぜ目が悪いのに画家を目指すのかという問いかけに対し、以下のような返事をした学生がいました。「子供の頃、自分の視力が人より劣っていると気づいたので、何とかして他の人と同じか、それ以上になりたいと思って努力しているうちに、見る事に人並み以上の関心を持つようになったのです。」
これを聞いたアドラーが芸術家の伝記を調べてみた所、偉人である画家や詩人、作家に視力障害を持つ人が何人もいる事が分かったのです。弱点やコンプレックスを持っていることがすごいのではなく、それに立ち向かう努力がより大きな力を得るきっかけとなることがわかります。
キリスト教の世界で、弱さやコンプレックスに立ち向かうことに神の祝福があるという考え方があります。ここで有名な「ある無名兵士の詩」を紹介します。
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『大きなことを成し遂げるために 力を与えてほしいと神に求めたのに
謙遜を学ぶようにと 弱さを授かった。
より偉大なことができるようにと 健康を求めたのに
より良きことが出来るようにと 病弱を与えられた
幸せになろうとして富を求めたのに
賢明であるようにと貧困を授かった
世の人々の賞賛を得ようと 成功を求めたのに
得意にならないようにと 失敗を授かった
人生を楽しもうとして あらゆるものを求めたのに
あらゆることを喜べるようにと命を授かった
求めたものはひとつとして与えられなかったが
願いはすべて聞き届けられた
神の意に沿わぬものであるにもかかわらず 口に出さなかった祈りはすべて応えられた
私はあらゆる人の中で 最も豊かに祝福されたのだ』
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自分の弱さやコンプレックスと向きあうことが自分の人生を歩むヒント、また神と出会うことにつながるかもしれません。