MORNING TALK
朝の心
雑用という名の用はない
- 2022.04.28
- 朝の心
ベストセラー「置かれた場所で咲きなさい」の著者、渡辺和子シスターは、修道院に入りたての頃、こんな体験をしました。
修道院の生活は、朝5時の起床に始まり、祈りと労働、労働といっても掃除、洗濯、アイロン、つくろいものなど、多くは雑用とよばれるような仕事に明け暮れる毎日でした。それに加えて、若いシスターたちは1日3回、100人を越えるシスターたちの食事の配膳もしなければなりませんでした。大皿を並べ、その上にスープ皿をのせ、その右にナイフとスプーン、左にフォークをセットして回ります。単純ではありますが、かなり大変な仕事です。最近まで、会社でバリバリ働いていた渡辺シスターはつい、どうして自分がこんなつまらない仕事を・・・という思いにかられてしまいます。
そんな時、ある年配のシスターに声をかけられます。「あなたは何を考えながら仕事をしているのですか?」と。とっさに「別に何も」と答えると、「あなたは時間を無駄にしています。時間の使い方は、そのままいのちの使い方なのですよ。同じ仕事をするなら、そこに座る1人1人のシスターが幸せになるようにと祈りながら、心をこめて並べていきなさい。」と教えてくれたのです。
このとき渡辺シスターが感じたのは「この世に雑用という名の用はない。用を雑に行った時にはじめて、雑用は生まれる」ということでした。つまらないと思える仕事をただの雑用にしてしまうのか、それとも意味のある愛にあふれた仕事にするのかは、その人の心がけ次第なのです。今年度の学校目標「なにごとも愛によって行おう」が示している内容も同じです。小さなことを雑用にしてしまわず、愛を込めて行うこと、それによって、自分のいのちを大切に生きること、一人一人がそれを心がけて努力する一年にしていきましょう。