朝の心
5歳の少女とマリア様
- 2022.05.24
- 朝の心
5月の聖母月に入って半分が過ぎました。みなさんにとって聖母マリアとはどういった存在ですか?普段はあまり意識することがないかもしれませんが、このような機会に考えてみるのもいいかもしれません。
私は聖母月になると聖母マリアに関する一つのエピソードを思い出します。今から7年ほど前のこと、神奈川県の幼稚園で働く、サレジオ会の神父様を訪問することがありました。お昼はその幼稚園で園児の子たちと一緒に食べ、昼休みにはお部屋で一緒に遊びました。5歳の女の子と話しているうちに、話題は目の前にあったマリア像に移りました。そこにあったマリア像は「無原罪の聖母」というマリア像でした。「無原罪の聖母」とは人間であるマリアが人間ならだれもが生まれながらに持っている罪(キリスト教では原罪といいますが)、その罪を持っていない状態で生まれたことを表すものです。「無原罪の聖母」の絵や像にはマリアの足元に罪の象徴である蛇を置き、その蛇を踏みつけて立っているところを描くことでマリアが罪を持っていない、罪に打ち勝っている状態を表すのです。気になる人は機会のある時にドン・ボスコ記念館の階段前にあるマリア像を見てみてください。
その幼稚園の教室においてあった無原罪の聖母の像にも足元にしっかりとリアルな蛇がおり、マリアに踏まれて苦しそうな表情を見せていました。私は話していた5歳の女の子にその意味を教えてあげようとして「なんで、このマリアさまは蛇を踏んづけているのか知ってる?」と聞きました。すると返ってきた言葉は意外なものでした。
「違うよ、踏んづけてるんじゃないよ。マリア様はみんなのお母さんでみんなのお友だちだから悪い生き物でも踏んづけたりはしないんだよ。苦しんでる蛇さんを近くに呼んで助けてるんだよ」
その5歳の女の子の言葉は聖母マリアのことを分かった気でいた私に新たな気づきを与えてくれました。たしかに、マリアはすべてのもののお母さんであり、いつも一緒にいて喜びや悲しみを共有してくれます。善いとされている人や生き物だけでなく、悪いものに対しても同じように母としての愛を注いでくれるのです。
5歳の女の子のまっすぐな聖母マリアへの思いに「なるほどなぁ、罪の象徴である蛇でさえも友達なのかぁ」と感心させられました。
すべての母であるマリアは常に私たちを見守ってくださっています。ドン・ボスコはいつも子どもたちに聖母マリアに信頼を置くことを教えていました。私たちも学院生として、サレジアンとして、聖母がいつもやさしい眼差しで見守ってくださっていることを忘れず、また苦しいときや悲しいときに傍に寄り添ってくれる聖母の存在を忘れずに生活しましょう。
※写真はドン・ボスコ社のホームページより(https://www.donboscosha.com/product/9364)