朝の心
こころを開くひとこと
- 2022.07.12
- 朝の心
今日はドン・ボスコのエピソードを一つ紹介します。神父になって間もなく、ドン・ボスコは住んでいた神学校のチャペルからある少年が係の人に追いかけられて出てくるのを見つけました。少年はミサの手伝いの仕方がわからなかったようで、チャペルの係の人はカンカンです。ドン・ボスコは係の人に「その子は私の友だちだから、やめなさい」といって少年を助け出しました。もちろん、その子をそのとき初めて見たわけですが。ドン・ボスコは少年に声を掛けます。
「もうぼくたちは友達だ。名前はなんていうの」「バルトロメオ・ガレッリです」
「出身地はどこ」「アスティ」
「お父さんは」「死にました」
「お母さんは」「母も死にました」
「年はいくつ」「16 歳」
「読み書きはできるの」「全然」
「歌は歌えるね?」「いいえ」
ドン・ボスコの質問が全然ヒットしません!もしわたしがドン・ボスコなら、この場であきらめて少年を家に帰していたかもしれません。しかしドン・ボスコはあきらめず次の質問を繰り出しました。「口笛はふけるだろう?」この言葉にバルトロメオは笑い出しました。そして彼がお祈りなどあまりキリスト教のことを知らないことを知ったドン・ボスコは一緒に少しずつ勉強しようとバルトロメオ少年を誘い、その手始めにアヴェ・マリアの祈りをその場で唱えたのでした。後にこのエピソードをドン・ボスコは自分の活動の出発点として自分の弟子たちに語っていきます。現在、世界に広がるサレジオ会ですがその始まりは、このアヴェ・マリアの祈りだったのです。もし、ドン・ボスコが「口笛はふけるかい?」と聞いていなければ、バルトロメオ少年と心を通わせていなければ皆さんが通っている日向学院は存在しなかったかもしれません。
さて、一学期が終わります。皆さんはどんな言葉を友達にかけてきたでしょうか。どんな些細なことが大きな将来につながっていくかわかりません。今一度、何事も愛によって行おうという学校目標を思い出しましょう。