朝の心
「やり直し」
- 2022.09.20
- 朝の心
2学期始めの大きな行事が終わり、普段の学校生活にシフトしてきました。
行事や部活動など、協力して作り上げていく活動を考えてみると、だいたいどこかのタイミングで意見の対立というものが起こります。「わたしはこれをやりたい」「僕はこれがしたい」・・・。一人ひとり、違う考え方を持っている人間なのですから、それが起こるのは普通のことです。お互いの違った意見に耳を傾けながら、それぞれのいいところを見つけて、時には譲ったりしながら、より良いものにまとめていく作業が「対話」というものです。これができないと、感情的に自分の意見を押し通そうとしてしまい、対立や不満を大きくしてしまうことになります。わたしたちはこの「対話」のスキルを磨いていかなければいけません。行事や活動というのはそのいいチャンスなのです。
ただ、誰しも完璧な人はいないし、失敗もしてしまいます。わたしも思わず感情的になって人に当たって、人を傷つけてしまうこともありました。意固地になって、自分が間違えていると分かっていても謝らない。
では、どうしたか良いのか。
ケンカをして相手を傷つけてしまった子どもに対して、どんな指導をするか。大阪にある大空小学校の校長だった木村泰子先生は、「子どもが人の心を傷つけてしまったら『反省』ではなく『やり直し』をさせる」と言います。ここで言う「やり直し」とはどういうことか。それは、傷つけてしまった相手のためにするのではなく、傷つける言葉を言ってしまった自分が、<そんなことを言わなくてもいい自分になるためにやること>だそうです。言葉だけで「反省してます」というのではなく、自分を高めるために次に自分がするべきことを考え実行する、積極的な行為です。
イエス・キリストは「赦し」ということを強く教えていました。「7回とは言わず、7の70倍まで赦しなさい」と言ったり、自分のことを裏切った息子を赦す親のたとえ話をしています。この「赦し」の教えでは、神様が悪いことをした人を見放す方ではなく、「やり直し」を通してより良い人間になるチャンスを与え続ける方であることを教えています。だから、わたしたちは失敗したとしても、あきらめや自暴自棄になるのではなく、「やり直し」に心を向けていかなければいけません。
「対話」のスキルを上げていくための一つのチャレンジは、この「やり直し」ができるかということです。人を傷つけてしまったとき、自分の間違いを認め、やり直す決心が立てられるか。
2学期のいろいろな関わりの中で、皆さんの人間性が磨かれていくように願っています。