朝の心
一生懸命、でももう少し
- 2022.10.05
- 朝の心
来週はもう定期テストですね、きっと生徒の皆さんは毎日計画を立てながら、テストの準備に励んでいることと思います。ちなみに今日の夕自習に何をするか決めていますか?あらかじめ具体的に自習の時間にすることの内容や目標を決めておくと、取り組みやすくなりますよ。
さて、皆さんもご存知の通り、初代校長のチマッティ神父様は年若い神父たちによく次のような励ましの言葉をかけていました。「一生懸命。でももう少し。」
この「でももう少し」という言葉には、若者たちが少しでも貪欲になって、「己に克つ」努力をするように教えるチマッティ神父様の思いが現れています。
高橋尚子さんというマラソンランナーを育てたことで有名な小出義雄監督は、彼女の指導について、こう語っています。「Qちゃんが強いところは、自分の限界がわかっているところなんだ。長距離のコーチという仕事は選手自身が限界だと思っているもう一つ先の限界を教えることなのかもしれない。自分が規定している限界の少し先に、本当の限界があることはハードワークなしでは教えられない。Qちゃんはそんな厳しい練習にもついてくるハートの強さを持っていたから、結果を出すことができたんだ。」(長谷川和廣『社長の財布』)
「Qちゃん」とは高橋選手のことです。小出監督は、人間というものは「一生懸命」のレベルを自分で決めさせると、知らず知らずのうちに少しずつ低いところに自分の限界を設定しがちである、つまり「楽になりたい」という性質を持っていると知っていました。だから、高橋選手や他の選手たちには大変なトレーニングをさせ、自分が思っている限界の先に実は本当の限界があることに気づかせていたのでした。
チマッティ神父様も同じようなことを考えていたのかもしれません。大変な思いをしながら日本語を覚え、日本の青少年たちのための教育事業を大きくさせてきたチマッティ神父様の苦労をわたしたちは容易に想像することはできません。相当大きな情熱とエネルギーを注ぎ込んだことでしょうし、それができた人でした。なぜなら、神様と日本の人々への愛のために「一生懸命、でももう少し」余計に働いたからこそ、ご自分の限界を大きくとらえることができていたからです。
さあ、わたしたちもテストに向けて、「一生懸命」のもう少し先までがんばってみましょう。きっと、「己に克つ」という学院のモットーの意味が分かってくるはずです。