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MORNING TALK

朝の心

「あなたは代って下さった」

2022.10.24
朝の心

コロナ禍になって、わたしたちは体調に人一倍気を遣うようになりました。熱が出たり咳が出たりして、「もしかしたらかかったかも」と自分の状態を気にするならまだしも、近くで咳をした人に対してさえ、一瞬嫌悪感を持つようになっている自分に気がつきます。「自分はかかりたくない」と思うがあまり、かかった人を恐れて排除する雰囲気が一時期とても強かったですね。

そんな雰囲気が社会の中にあったからでしょうか、たまたま読んだ本で、ハンセン病に関するものが目に留まりました。

ご存知の通り、ハンセン病は感染すると手足の先や耳、目が崩れていき死に至るという恐ろしい病気とされ、さらには強い感染力を持つと思われていたので、感染した人は社会から追い出された生活を余儀なくされていました。

けれど、そんなハンセン病の人たちに寄り添いたいと立ち上がった人々がいました。精神科医であった「神谷美恵子」さんもその一人でした。

彼女がハンセン病者のために働くきっかけとなったのは、19歳の時に患者の人と初めて触れ合った体験でした。そのとき彼女は「癩者に」という詩を書いています。

 「何故私たちでなくてあなたが?
  あなたは代って下さったのだ、
  代って人としてあらゆるものを奪われ、
  地獄の責苦を悩みぬいて下さったのだ。」

彼女のハンセン病者へのまなざしは、「私の代わりに病気をになってくださった、ありがたい人」というものでした。だからこそ、病者を尊敬し寄り添うことができたのでした。

キリスト教ではなぜ十字架上のイエスを拝むのか。
それは、神谷さんと同じ様に、「あなたは私に代わって私の苦しみをになってくださったのだ」と考えるからです。救い主イエスはそのような方なのです。

病気の人やお年寄りを前にしても「私とは関係ない」と思うのではなく、「あなたは私の代わりに苦しみを担ってくださった。あなたは私だ」と考えられるようになると、人に対して「愛をもって」接することが出来るようになるのではないでしょうか。

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