朝の心
嫌いなところも大事に
- 2023.03.02
- 朝の心
私が通っていた小学校では、ベトナム国籍の生徒が当時多かったため、週に1時間ベトナム人の生徒が集まるベトナム人学級というものがありました。そこでは自分たちのルーツを大事にするために、ベトナムの文化や言葉について学ぶお勉強をしていました。私も両親がベトナム人ですので、その学級に参加していた一人です。私はこの学級がとても苦手でした。当たり前ですがその学級では見渡す限りベトナム人でした。私のように日本語がしゃべれる生徒もいれば、あまりしゃべれない生徒もいました。私は日本生まれ日本育ちですので、たとえ両親がベトナム人であるとしても、アイデンティティは日本人でした。日本人としてクラスの友達と一緒に勉強したり、遊んだりしていたのですが、その学級の時間になると、クラスの授業をわざわざ抜けて参加しなければいけなかったため、自分はベトナム人であることに意識を向けざるをえませんでした。周りと自分は違うんだと感じたり、自分のアイデンティティ集団から隔離された気分になったりしていたのでとても苦手でした。ベトナム人である自分、周りとは違うということが苦痛でした。
しかしある時、ベトナム難民の歴史を知り、自分の嫌いな部分が大事な部分へと変化していきました。私の両親は決死の覚悟で祖国を後にし、九死に一生を得て日本に到着し、日本で差別を受けながら立派に子供5人を育て上げたのです。この私の両親の苦悩、困難、愛が「私はベトナム人である」という証だと気づきました。今ではそれが私の誇りであり、私がつらい時に「両親がこんなに頑張ったんだから頑張ろうかな」という支えになっています。
皆さんは自分の嫌いな所、苦手な所はありますか。もしあるなら自分の嫌いな部分に対して自分がどう感じているのか、どう思っているのか考えてみてください。好きな所だけではなく、嫌いな所も大事にしてみてください。聖書でパウロは「私は弱い時にこそ強い」と言っているように、もしかしたら嫌いな部分が今後自分の人生の歩き方を決める大事な部分になるかもしれません。