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MORNING TALK

朝の心

祖父母の戦争体験

2023.11.15
朝の心

 今週の金曜日は中高合同の慰霊祭が行われます。11月は死者の月ということで亡くなった方をしのび、彼らのために特別に祈ります。今日はわたしが自分のいのちについて初めて深く考えるきっかけとなった祖父母との思い出を分かち合いたいと思います。

 小学生の時、親戚一同が正月に集まって夕食をしたときのことです。いきなり祖父が自分の戦争体験について語りだしました。「あまり思い出したくはないが、皆がそろっているので話したいと思う」とはっきりとした口調でした。祖父は太平洋戦争の折、激戦地の一つであったビルマ(現在のミャンマー)に送られました。戦闘は熾烈を極め劣勢の状況が続いていました。ある夜、祖父は部隊長に呼び出されたそうです。そして次のように言われました「お前は足がこの部隊で一番早い。この手紙を後方の本部に急ぎ届けよ」。祖父は翌朝出立し一目散に本部を目指しました。本部に到着した時、祖父は自分が所属していた部隊が全滅したと知らされます。実は祖父が呼び出されたときにはその部隊に本部からその拠点を「死守せよ」という指令が届いていたのでした。その後戦争が終わり祖父だけが生き残りました。祖父は「なぜ、自分が選ばれて生き延びたのか」とずっと考えていたようです。

 一方、祖母はと言えば長崎で原爆を体験しました。別の機会に小学校に来てくれて一度だけ話をしてくれました。祖母は爆心地の近くの山で防空壕を掘る仕事をしていました。休憩が終わり防空壕の中に入っていて仕事を再開したときに原爆が投下されたそうです。そして一緒に仕事をしていた人たちでちょうど外にいた人たちは皆亡くなってしまったのです。

 祖父母の戦争体験を聞いて、何か少しでも違ったら祖父母がこの世におらず自分が生まれてこなかったということと、ではなぜ自分が生まれてきたのかということを考えるようになりました。いのちは奇跡の連続でつながっています。慰霊祭で亡くなった方々のために祈るとともに、自分のいのちの意味について考えてみてもらいたいと思います。

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