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お知らせ

終業の話と退職される先生の紹介

2020.03.27
学校生活

3月3日から新型コロナウィルスの影響で、休校中であった高校は3月25日、中学校は3月26日に登校日をおこないました。登校日には、1時限目の最初に全校放送で校長にからの話と本年度でもって退職される先生方の紹介がありました。


学校長の話

 「ドン・ボスコの約束」

 ドン・ボスコの時代、ドン・ボスコが活動していたトリノを中心にコレラが大流行しました。1854年7月頃のことです。トリノ市内だけでも感染者数は日々5,60人ずつ増加し、3ヶ月で約2500人が感染、死者は1500人にも及びました。当時は今と違って衛生状態が悪く、特に人口が集中していた貧困地帯の状態はひどいものでした。ドン・ボスコのオラトリオは、その地区の中にありました。

 これに対して市当局は隔離病棟などを開設しましたが、肝心な患者の世話をする人が足りません。コレラ患者というだけで誰もそばに寄りつこうとせず、家族でさえも感染を恐れて患者を見捨ててしまうありさまだったのです。

 この状況をみてドン・ボスコは8月5日、オラトリオの少年たちに呼びかけました。「もし君たちが神の恵みのうちにあり、どのような罪も犯さないなら、誰もコレラにかからないことを約束する。君たちも知っているとおり、市長の呼びかけでコレラ患者の看護をする人が今求められている。君たちの中で私と一緒に病院や病人の家に行こうと思う者は来てほしい。きっと主に喜ばれることをすることができる」と。

 その夜14名の若者がドン・ボスコの呼びかけに応え、その後さらに30人の幼い子どもたちが加わりました。彼らは予防措置を徹底させながら、患者の世話をしました。シーツ、毛布、下着などが足りなくなった時は、マンマ・マルゲリータのところにもらいに行きましたが、それもあっという間になくなりました。それでもベッドで苦しんでいる病人のことを若者が話すと、マンマ・マルゲリータは、聖堂の祭壇に使っている布を渡してこう言いました。「これをあなたの病人のところに持って行きなさい。神様は文句をおっしゃらないでしょう」。

 その後、コレラの危険が町から去ったのは、11月の下旬になってからでした。ドン・ボスコの少年たちは誰一人コレラにかかることなく、無事でした。ドン・ボスコの約束は守られたのです。

 今、世界中で新型コロナウィルスによる感染症が蔓延し、パンデミックが起こっています。世の中が大変なことになっているのは皆さんもご存知でしょう。このように状況が深刻になり始めた時、今お話ししたドン・ボスコの時代のエピソードを、私はすぐに思い出しました。そしてあらためて思うことは、「勇気をもって外に出て、率先して患者の世話をしなさい」とかそんなことではなく、ドン・ボスコもオラトリオの少年たちも、自分たちのことだけを考えなかった、ということです。世の中では今、感染拡大を防ぐためにさまざまな制約や自粛が求められています。学校に行けない、部活動ができない、旅行ができない、数々の試合やイベントが延期または中止になるなど、残念なことばかりです。しかしドン・ボスコはこういう時にこそ、周りの人びとのことを考えた行動をおこしました。そうした行動には必ず神様からの祝福があり、聖母の助けがあると信じていたからです。

 そこで私は皆さんに、こんな時、こんな状況だからこそ、何が人のためになるのだろうか、社会のためになるのだろうか、と自ら問うてほしいと思います。全世界がこのような状況のときに、不平不満のつぶやきや、あきらめ、ネガティブな言動は、少なくとも慎むべきではないかと思うのです。そのうえで一人ひとりが今、自分がやるべきことに喜びをもち、心を込めて取り組んでほしいと思います。それがドン・ボスコの精神、すなわち日向学院の精神ではないでしょうか。今こそ、今年度の目標を思い出してください。「Fiat voluntas tua~いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい。」と。

 今年度は、このような形で締めくくることになりますが、新年度にまた皆さんと元気な姿で会えることを楽しみにしています。


退職教員の紹介

退職される先生は以下の通りです。
 興梠典子先生(養護)
 橋口由起子先生(理科)
 黒岩充秀先生(国語)

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